著者:松井優征
出版:集英社(ジャンプコミックス)
既刊最新刊:16巻(次巻 2024年9月頃見込み)
目次(ページ内リンク)
ストーリーの流れ(各巻)
・1巻〜7巻 鎌倉幕府滅亡〜諏訪での日々
・8巻〜11巻〜13巻 中先代の乱
・13巻〜 南北朝時代 南朝としての戦い
史実は知らないまま読むのがおすすめ!
刊行情報
逃げて生きて戦い続ける幼い英雄 激動の南北朝時代を時には忠実に時にはエンタメに描く
ストーリーの大きな流れ
恥ずかしい話、この「逃げ若」を読むまでこの時代をよく知りませんでした
なんか知らないうちに鎌倉幕府が滅び、なんだか活躍したらしい足利が室町幕府を開いた……みたいな
しかし逃げ若を読み、よくよく調べてみればまさしく激動の時代
本作ではこの時代について記述されている太平記もかなり参考にして書かれたようで、大きな流れはわかる範囲にはなるでしょうが、かなり厳密に史実を追っています
10巻半ば〜後半の現在、まあ3部構成とすれば2部が本格化している辺りという感じでしょうか
ストーリーの流れ(各巻)
ネタバレだらけなのでご注意を
1巻〜7巻 鎌倉幕府滅亡〜諏訪での日々
諏訪での日々などど平和っぽく書きましたが、軽いイベントから戦まで出来事はたくさんあります
京都へ足をのばすこともありますね
物語はまず、鎌倉幕府が滅び、北条本家の時行が諏訪頼重と出会い匿われるところから始まります
本作ではちょくちょく、強敵との戦いを「南北朝鬼ごっこ」として大ゴマで演出しています
それがだんだんと大物になっていく感じがまるでRPGみたいで大河の世界観を少年マンガにしてくれます
小笠原貞宗は信濃=諏訪の守護として、本作通して長く登場し続けます
敵であり師匠であり、どちらも簡単に死んだりしないで、歳は離れていながらまるでライバルのよう
仲間(郎党)を増やしていく王道展開
神回避が唯一最大の武器ですがそれだけでは勝ち切ることはできませんので、少年マンガらしい技の習得も
4巻で鎌倉奪還を提示しますが、実際に動き出すのはもう少し先になりますね
護良親王かっこいいですねぇ
一時的に諏訪から身を隠すのが目的ですが京に行き、そして後に要所要所で登場する魅摩もここで出会います
直接対決はほぼありませんが重要人物の楠木正成と出会い、逃げと兵法について学びます
史実では絡みはないはずですが、時行の名前がたまたまとはいえ楠木の息子につけられていること、どこか似た雰囲気、あとは重要人物を時行絡みで登場させたかった都合みたいなのでこんな感じにまとめたのでしょう
好きなキャラです
尊氏に暗殺を挑む機会にも恵まれますが……ここは当然?失敗します
そしてついに挙兵
諏訪をスタートして鎌倉を目指す戦の旅の始まりです
8巻〜11巻〜13巻 中先代の乱
鎌倉の奪還はまず、信濃での戦いから始まります
やはり後ろから追いかけられるのはきついですからね
それをさせないような状況を作るところからということです
ここまであくまで見せておく程度に止まっていた敵たちと本格的な戦になります
時行達の成長を見せる場でもあります
ここまでごく一部しか知らなかった時行の正体を広く明かします
名乗り、かっこいいですね
本当に敵のおじさんとは思えないカッコ良さの小笠原貞宗
ここでも決定的な決着にはならず、なんかかっこいい感じで見送られます
そして信濃を出て、鎌倉を目指します
関東庇番衆が鎌倉への道に立ちはだかる敵として描かれます
いざ鎌倉!
行き着く間もない連戦です
そして辿り着くのは、鎌倉を任せられた足利尊氏の弟である足利直義
まさしく中盤の山として申し分のない構成です
直義を越えればもう鎌倉は目前
これで中先代の乱の……中盤が終了といったところです
プチ日常とパワーアップイベントを挟みつつ、この山はまだ終わりません
鎌倉が北条に奪還されたとなって、黙って放っておかれる訳もなく
京、足利尊氏も動きます
再度鎌倉まで迫られ、北条軍はそれを迎え撃ちます
しかしついに対面した足利尊氏は真っ当な戦の流れを覆すような挙動で……
まあこの辺は読んでのお楽しみですね
この時代が扱いにくい原因みたいな部分を少年マンガの面白いところとして落とし込んでいます
ということで奪還からほとんど間も無く、時行たちは追い込まれてしまいます
時行は生き残りますが……
何の犠牲もなく乱は終わらせられません
長く付き合った諏訪頼重との別れの時です
中先代とは時行のこと
この乱は中先代の乱として歴史に残ります
13巻〜 南北朝時代 南朝としての戦い
鎌倉の奪還は長くは続きませんでしたが、無事に時行は逃げ、生きながらえます
鎌倉奪還の志は残しつつ、もう半分は足利尊氏を狙う物語へと進んでいきます
そして当の足利尊氏は滅茶苦茶で……
乱を鎮める際にちょっと無茶をしすぎた尊氏は、実はここで謀反人として朝敵扱いになってしまいます
ここでは少しばかり時行を置き去りに、歴史上に名を残す英雄達の争いが起こります
最終的に尊氏が勝利をしたような形でまとまりますが、代償として?南北朝として朝廷が二つに分かれる事態に
ここまではいかに朝廷を味方にするかみたいなところがありましたが、朝廷が分かれているのでお互いが朝廷である大義名分で戦い合うことができるようになってしまいます
時行は南朝につき、尊氏の立てたようなものの北朝と対立
本格的に南北朝時代へと進んでいきます
この南北朝時代に入り軸となるのは北畠顕家
公家でありながら圧倒的な弓の能力を筆頭に戦に関する力を備えています
南朝側に立って、時行軍を率いる立場で物語を進めていきます
北畠顕家は奥州(東北)の統治を任されています
南朝方として戦うにもまずは京に向かわなければなりません
途中には鎌倉がありつつ、しばらくはその行軍を描くことになります
ということで戦ばかりになりがちですが……
状況が変われば共に戦う仲間も変わるというもの
新たな仲間が増え関係も複雑になり、2部が進んでいるなぁという印象を強めます
一つの重大局面は早々に訪れます
というよりそういう風に感じさせる演出が上手いですね
史実では時行の叔父である北条泰家はこの前辺りから消息不明になっています
ここでは生存させつつ敵に利用されるという、ある意味上手い使い方としていますね
物語としてしっくりくる風にまとめつつ、ご都合らしく感じさせない
このような工夫は作品のクライマックスにも響いてくるのだろうな……と思います
そして長らく戦略上の強敵として存在感を示していた斯波家長との対決
どちらかといえば嫌な印象の敵として描かれてもいましたが、結局すごく泣かせてきます
何となく、ここで本当の意味で中先代の乱が終わって、戦乱へと進んでいくような印象がありました
とか細かく書いているといつまで経ってもまとまらないのですが、見せ場を細かく作りながら西進していきます
コミックス16巻現在、単純に武力が猛烈な武将である土岐頼遠が立ちはだかっています
少年マンガの山場らしい盛り上がりのある場面ですね
史実は知らないまま読むのがおすすめ!
歴史物にはつきものですが、どこまで史実通りなのかというのが多少なりとも気になります
その点、本作はどうやら大きな流れではかなり忠実に史実をなぞっています
それは良くも悪くも、史実を調べると物語の先がわかってしまうのだということ
新鮮に楽しむためにはあえて気になっても調べないというのもありなのかなぁ……と思います
まあ、戦車を筆頭に戦シーンでは「そんな訳ない」が横行している訳ですが笑
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