著者:平井大橋
出版:集英社(ヤングジャンプコミックス)
既刊最新刊:4巻(次巻2024/3/18予定)
目次(ページ内リンク)
才能に翻弄される無垢で剥き出しの感情、そしてぶつかり合い
スポーツの才能の塊 綾瀬川
綾瀬川次郎(あやせがわじろう)は、小学生にして身長170cm近い身長に加えてすぐに感覚を掴んでしまう、スポーツなら何をやらせても頂点をとれてしまうような才能を持っています
しかし綾瀬川は楽しくスポーツがしたいだけ
そして来ていきなり上手くやられてしまっては周りはたまったものではない
才能は綾瀬川の思うようには活かされず、邪魔者のように扱われるハメになってしまいます
そんな中で見つけたのが、足立バンビーズという野球チームです
そもそもなぜだかメジャースポーツ、チームスポーツをやってきていなかった綾瀬川
楽しそうなチラシの雰囲気に釣られて、様子を見にいってみることに
ガチなところならいざ知らず、基本的にはチームスポーツなので強いやつは大歓迎です
チームのメンバーもいい子ばかりで、ここが求めていた場所だと綾瀬川は確信します
そして相変わらず、何をやらせても天才的なセンス、圧倒的将来性を見せつけます
しかし、そんな風にしていられるのも束の間
ここでも天才的才能が暗雲をもたらすことに……
描写からして不穏極まりないですが、その凄まじすぎる才能が監督の前に見せつけられます
おそらく、単なる才能溢れる子供という認識から、神に与えられた無二の逸材に変わった瞬間でしょう
動画を見ただけで変化球を難なく習得するフィジカルにも恵まれた小学生
おそらく大谷すらも遥かに超越した速度で成長していることでしょう
マンガだから普通に流してしまいますが、実際にそんな子供が目の前にいたら?
少なくとも大人は結構、この監督のような想いを同様に抱くのではないでしょうか
多くの人の目にふれる舞台へ
監督はこっそりU12の日本代表の選考に綾瀬川を(動画で)応募させて、すでに合格してしまっていました
もちろん、その気がなければ断ったり行かなければいいだけなのでしょうが……
そそのかすような感じで、結局参加することに
そこでは、同じように相当な実力者である同世代達と出会うことになります
それで上手くいけばいいんですけどね
そこそこいい感じに交流できているようですが、やはり不穏な雰囲気が漂います
足立バンビーズでの不和
代表の練習が終わった綾瀬川は足立バンビーズに一旦戻るのですが…
同学年の3人のうち一人、ヤスがチームを辞めてしまうことに
なぜ? となりますが、もう一人のイガは状況から察してしまいます
君のように勘のいいガキは……
ヤスは野球の上手かった父を持ち、しかし流れ流れて足立バンビーズにきていたのでした
その父は次第に、息子よりも綾瀬川の方に興味を持ってしまい……という状況です
ヤスが辛すぎですねぇ
しかし綾瀬川も、ただ才能があるだけのスポーツを楽しみたい子供
少なくとも子供の中では誰も幸せになっている子がいない
才能が生み出した地獄
まさしく才能の功罪とも言うべき状況になってしまいます
そして日本代表チームの大会に
再度合流して、本格的に試合を目指していきます
目立つチームメイトとして円と桃吾がいますが、二人ともいいやつ、特に円の方が人間出来過ぎで怖いくらいです
なのですが……
なんだかんだ言っても小学生だしというのもあるし、なんというかそういう作風だし、というところではい、当然上手くはいきません
このやり取りで堪忍袋の尾が切れた……のは、円の方ではなく桃吾の方
ついに殴りかかってしまい……
しかしそれでも人間出来過ぎの円
その辺でなんとか救われつつ、ギクシャクしたまま練習、試合が進んでいきます
結局のところ、暗い!
冒頭からそうですが、才能の暗い部分が全面に押し出されています
功罪とはいうものの、ほぼ罪ですね
お、ようやくチームに入ってここから爽快な成長ストーリーが始ま……らない! という場面が続きます
将来のシーンからの回想的演出があり、綾瀬川が野球大好き!とまではならないものの、チームに愛着があるような描写があるのでいずれそれなりに収まるところに収まっていくのでしょうが、それでもおそらくこんな感じで才能ゆえの苦難、葛藤に焦点が当たり続ける作風なのでしょう
スポーツものの野球というよりは、野球を題材にしたドラマみたいな感覚で読むような作品なのではないでしょうか
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