踊り場にスカートが鳴るは、ダンスを題材にした作品です
社交ダンスをよく理解している方はそう多いわけではない(私もそうです)でしょうが、何となく男女で、男性がリードして女性が合わせて大きな動きをするようなイメージはあるのではないでしょうか
主人公の「きき」のいる社交ダンス部では女性同士でペアを組んでいますが、そこでは男性役であるリードと、女性役であるパートナーのどちらかの役割を決めて踊ります
ききは、本当はかわいいものが好きだけど背が高くて似合わない(と本人は思っている)ので、外であまりそういう格好をしたり物を身につけないようにしています
ダンスにおいても、合う合わないではなくリードをやるしかないという消極的な理由でリードをしているのですが……
現在のパートナーとのペア解消と、リードをやりたいと熱望する新入部員の登場で物語が動き始めます
登場人物達の感情の描き方が丁寧
題材がダンスなので、大きめに描かれるダンスの描写も綺麗で雰囲気バッチリです!
鳥羽見(とりばみ)みちる
ききはリーダーとして一年生の間に活動していたペアが解消されていました
そんな二年生になったききの前に現れたのは、新入生の鳥羽見(とりばみ)みちる
ききより身長が高いなんてことはありませんが、鳥羽見はリーダーを志望していました
まあそんな感じで、メタなことを言えばききとのペアとなるべく現れた鳥羽見ですが、ききはききで身長を気にしてパートナーになることに抵抗がありますし、そもそも別に二人が組む積極的な理由はありません
しかしききが一人で踊っている姿を見かけた鳥羽見が、手を取りリードをし始めます
これをきっかけに鳥羽見はききをパートナーに誘いますが……
このあとすぐに上手くいくわけでもなく一筋縄ではいかない展開も当然と言えば当然ですが、だんだんと二人の気持ちは一致していきます
派手にドラマティックというよりは、少しずつ耽美に近づいていく二人が描かれていて、雰囲気重視の構成になっています
紫苑とモナ
紫苑(しおん)は一年生の時に、ききのパートナーでした
二年生になり、ペア解消を切り出したのは紫苑ですが、別に仲違いがあったわけではありません
むしろ、ききのことをよくわかっているからこその決断といったところで、なんというか猛烈に……未練が残されていました
新しくペアになったモナも、それはだいたい察していて、余計なことを言わないようにしつつもそれがまたモヤっとした何かを残すような……
その感じがもう、百合ものにはよくあることですが、メインカップルが青春っぽい距離の縮め方をするのに対して、すごいしっとりした感じに仕上げられています
全体を通して絵も綺麗で、内容も安定しています
雰囲気を味わいたい人に特におすすめできる一作です!
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