逃げ上手の若君の魅力(少年マンガすぎる展開だけど、これは歴史上どうなって……え? 史実?)

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アイキャッチ出典:出典:松井優征『逃げ上手の若君_11巻』@集英社

著者:松井優征
出版:集英社(ジャンプコミックス)
既刊最新刊:24巻(次巻2026/7/14予定)


目次(ページ内リンク)

逃げ上手の若君は、鎌倉時代末期から南北朝時代に実在した「北条時行」を主人公とする歴史もののマンガです
ジャンプ本誌でも、過去の時代を舞台にした作品は数あれど、本格的に歴史上の人物に着目して主人公とした作品は稀有なのではないでしょうか


ジャンプ本誌での連載競争は苛烈で、次から次へと新しい連載が始まり、そして同じ数だけ終了していく
どうしても史実に沿った歴史ものでは、派手なバトルを繰り広げられる連載陣と競うのはなかなか難しい


では、逃げ上手の若君は、どのように生き残ったのか
歴史を脚色し、派手な展開にした?
現代からタイムスリップした人物を入れてわかりやすくした?
……そんなことはありません


ドン引きするほど史実通り


……なのでした
もちろん戦闘シーンなどではそんなわけないくらいの脚色がありますが、大筋、ビッグイベントは歴史通り
作中、いくつも名シーンがありますが、それがおそらく概ね過去にあった事実であろうということが、感動を下支えしているような気がします


以下、史実と対比しつつ、逃げ若のシーンを振り返ってみたいと思います


鎌倉幕府滅亡

逃げ上手の若君
出典:松井優征『逃げ上手の若君_1巻』@集英社


逃げ上手の若君
出典:松井優征『逃げ上手の若君_1巻』@集英社


まず、時代設定である鎌倉時代から南北朝時代を経て室町時代となる時期ですが、一般的にどれほど知られているでしょう
最低限、義務教育を押さえているとして……
せいぜい、なんだか鎌倉幕府が滅んで、後醍醐天皇という人が朝廷に政権を取り戻し、そしていつの間にか足利尊氏が室町幕府の初代将軍になっていた、くらいじゃないでしょうか
(とりあえず私の認識がそうでした)


なんか、今思えばスカスカというか、なんか重要な情報抜けてない? という感想が出ますね
このスカスカな部分の中身が「逃げ上手の若君」なんですね
日本の歴史を一通りなぞる都合、細部まで教科書に表してられないという理由だけでなく「なんかこの時代はわけわからないすぎて教科書に書けない」という理由もあるような……と、この作品を読んでいると感じます


ただ、とりあえず鎌倉幕府が滅んだことは、誰でも知っている史実でしょう


その点は当然史実と共通しつつ、ポイントは、本家血筋の北条時行が逃げ延び、幕府の有力御家人であった足利尊氏が打倒側に加担したことですかね


逃げ上手の若君
出典:松井優征『逃げ上手の若君_1巻』@集英社


人によっては、後醍醐天皇とのイザコザこそあれ、武士政権としての鎌倉→室町への移行には大した揉め事なんてなかった印象もあるのではないでしょうか


○○○の乱、○○奪還

もしかしたら、逃げ若を未読で、この周辺の歴史に詳しくないけどこのページに紛れ込んでしまった人もいるかもしれないので、伏字にしました
ネタバレを喰らいたくない場合は以降読まないようにしていただければ


さて、幕府滅亡後の鎌倉はどうなっているでしょうか?
すっかり焼け野原に? あながち間違ってもないのかもしれませんが、かつての武家政治の中心が、幕府滅亡したからって消滅するわけもありません


逃げ上手の若君
出典:松井優征『逃げ上手の若君_4巻』@集英社


鎌倉滅亡に関わった足利関係の人物などで、関東庇番が設置されました
あんまり細かい資料は残っていませんが、そうした組織があるのは史実だそうです


で、こうして鎌倉では新たな統治が進んでいました


そして鎌倉幕府滅亡からおよそ2年後
その鎌倉に向けて「北条時行が挙兵」します


逃げ上手の若君
出典:松井優征『逃げ上手の若君_8巻』@集英社


逃げ上手の若君 足利直義
出典:松井優征『逃げ上手の若君_9巻』@集英社


いや、すごいですよね
滅亡した幕府の生き残りが、奪還に向けて挙兵ですよ
なんというか誰もが知る本能寺の変よりもよほどインパクトがある気がします


しかも、(いちおう)成功します
主君になることのなかった先代→これを中先代とし、この一連の争いは中先代の乱と呼ばれました
こうして、故郷を追われた不遇の王子は、鎌倉奪還を果たすのです


逃げ上手の若君
出典:松井優征『逃げ上手の若君_11巻』@集英社


逃げ上手の若君
出典:松井優征『逃げ上手の若君_11巻』@集英社


これが紛れもない史実というのがすごい
もちろんこれでめでたしめでたしとは行きません
鎌倉幕府滅亡に関わった足利尊氏、新田義貞も健在
足利尊氏は再奪還に鎌倉に向かい、これに敗れまたも鎌倉を失います
しかしそれでバッドエンドともならず、なおも北条時行は生き延び続け、物語は続きます


逃げ上手の若君
出典:松井優征『逃げ上手の若君_12巻』@集英社


逃げ上手の若君
出典:松井優征『逃げ上手の若君_13巻』@集英社


ところでこの時、史実上の時行は、7歳〜10歳程度とされています
生まれからすると7歳側の方が有力なようですが、作中では10歳側が採用されているようですね
10歳でもとんでもないですが、7歳ではいくらなんでも大人に混じって戦ったり指揮を執ることは困難でしょう
少なくとも周囲の支えがなければ実現しないことだけは確かです
作中の活躍ぶりは、さすがにマンガ的な脚色があると思われます


○○奪還2回目、3回目

さて、一度目の鎌倉奪還は短い期間で終了してしまい、時行はまた逃亡生活に戻ります
と言っても、足利尊氏にしても力を失った北条よりも重要なことは山ほどあり、必死に追ってくるわけでもありません
どちらかと言うと、逃亡というより潜伏と言った方が近いでしょうか


その頃、これまで尊氏がだいぶ滅茶苦茶やった結果、朝廷と敵対
雑なまとめですが、その結果が朝廷が同時に2つ樹立する南北朝時代の始まりでした
尊氏は北朝に属し、南朝側と何度も戦いを繰り広げることに


逃げ上手の若君
出典:松井優征『逃げ上手の若君_13巻』@集英社


逃げ上手の若君
出典:松井優征『逃げ上手の若君_13巻』@集英社


時行はこの戦いの中、南朝に属して何度も戦に関わっていきます
勝ったり負けたり、様々なことが起きますが、しかしながらこの戦いの中でなんと、
鎌倉を再度奪還します
戦の過程で鎌倉を拠点とした武将に勝っただけで、長居もできなかったことを奪還と言うかというところでもありますが、一度ならず何度も奪還に到達するのはびっくりですね
ええ、これも史実です


逃げ上手の若君
出典:松井優征『逃げ上手の若君_14巻』@集英社


逃げ上手の若君
出典:松井優征『逃げ上手の若君_15巻』@集英社


最期

さて、このような生き方をし、そして歴史の示す通り鎌倉幕府が再興することはありません
つまり、平穏な最後にはならないということです
端的に言えば、時行は最後は足利方に捕えられ、処刑されます
当然、マンガが完結していない今、どのようにまとめられるかは分かりません
この通説通り処刑されるかもしれないし、なんだかんだこの時も逃げていた説もあるし、本作では神力という飛び道具があったりもします
通説の史実だと結末にあまり救いがなくなってしまいますが、少しばかりアクセントを加えることは考えられるかもしれないですね


既刊最新刊:24巻(次巻2026/7/14予定)


逃げ上手の若君_25

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