コンカフェ「リーベ女学園」で繰り広げられるストーリー重視な百合物語
自分の可愛さを自覚し「外面」を使って生きている陽芽(ひめ)と、真面目でお姉様な容姿をした美月(みつき)による、嘘に隠された本当の気持ちを見つける物語です
一番の魅力は、メインの二人の迫真のやりとり
迫真という言葉は、あまり百合マンガに使うことはないでしょう
しかし真に迫るという文字の通り、二人の間には、真剣に考えているからこその本音、真剣に考えているからこその嘘が飛び交い、お互いの心を、そして読者の心を揺さぶります
「嘘」というのは、この作品のテーマの一つと言っても過言ではないでしょう
彼女たちは真剣に、自分のためだけではなく相手のために嘘を吐き、しかしそれが上手くいかずにすれ違っていく
その様子に読んでいてハラハラするのですが、マイルドな優しい世界だけでは感じることの出来ない、本気をそこに感じることができる作品です
先に言ってしまえば、間違いなく百合マンガとして一番にお勧めできると、そう思っています
絵は綺麗で、特に表情による感情表現が豊か
メインヒロインの二人(と言うと怒る人もいるかもしれませんが)は、
白木 陽芽(しらき ひめ)/白鷺 陽芽(しらさぎ ひめ)と
矢野 美月(やの みつき)/綾小路 美月(あやのこうじ みつき)です
他に当初から3人のキャラがいて、徐々に増えていきます
間宮 果乃子(まみや かのこ)/雨宮 果乃子(あまみや かのこ)
知花 純加(ちばな すみか)/橘 純加(たちばな すみか)
小柴 舞(こしば まい)/御子柴 舞(みこしば まい)
この作品の魅力を支えているのが、その絵の可愛さが一つにあることに間違いありません
書き分けもできていて誰が誰かわからなくなることもありませんし、
表情の表現もとても可愛らしく、様々な感情が描かれるわたゆりのストーリーの魅力を最大限に引き出しています
けっこうシリアスで、日常パートも良いけど束の間の休憩……というか息継ぎ程度
初めは、ギャグテイストで物語がスタートします
そもそも、陽芽がコンカフェでバイトを始める理由が、店長を怪我させたことを理由に脅されてですからね……と書くとヤバそうですが、この辺りはギャグっぽくポンポン進んでいきます
が、それら最初のギャグ的シーンはあくまで前振りに過ぎず、割と無駄なくストーリーが深まっていきます
胃が痛くなるような、すれ違いが続き……ハラハラしながら読み進めていくとあっという間、みたいな読み味になっています
言っておくと、これらのハラハラはちゃんと、むしろ素晴らしいと言える解決を迎えます
それがわかっているのに何度もハラハラさせるというのは、そこら辺のサスペンスやバトルものですらなかなか見られないレベルかもしれません
とにかくそこの点がずば抜けています
ギャグっぽくコミカルなシーンも結構面白くて、日常百合ものみたいなほっこりなシーンも一つの山を超えた後にちょこっと、物足りないくらいちょこっと挟まれるのですが、そこに帰ってくるために何度でも胃の痛くなるような展開に挑みたくなるような、そんな絶妙なバランス感になっています
(アニメが始まり、百合界の虚淵玄みたいな呼ばれ方をしていて笑いました)
先の気になるストーリー
12巻現在、かなりカップルの形みたいなものが見えてきました
それに、どれだけエグい展開でハラハラさせようとも、最後は読者の望む形に戻ってくるはず……という期待も込めた気持ちからも、最後は順当にまとまるんじゃないのかなぁみたいに思ってはいます
とはいえ、何をしでかすかわからない(ひどい言い草ですが良い意味でです)作者さんなので、まだまだどうなるかはわかりません
百合もので、12巻を超えて終わりも見えず先が続きそうなのはかなり珍しい部類だと思います
ゆるゆりとかありますが、あれは日常だしキャラがたくさんいますからね……
メインの掘り下げをここまで深く出来るのは、本当に稀有な作者さんだと思います
あと一山か二山か、何ならまだまだあるのか……これからも期待ができるシリーズですね!
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