おすすめ作品ピックアップ紹介「ドリフターズ」

異世界転移した歴史上の人物たちの戦略とバトル
設定は使い古されたものでも作者の構成、演出力の高さが光る

物語の中心は漂流者（ドリフターズ）

タイトルにもなっているドリフターズとは、作中で漢字で漂流者と表されています
英語で「漂流＝drift」なので、言葉の意味通りの訳ですね
具体的な説明はされていませんが、地球から異世界に漂着した人物みたいに解釈すると良いのでしょうか
（まあ、漂流とは名ばかりの、めっちゃ恣意的な人選がされているように思いますが）
ということで、その辺りちゃんと設定は練られていますが、しかしよくある偉人たちが異世界などでバトルするような作品群と同じ枠に存在する本作
しかしFateなどと同様、よく完成度が高くそこらに溢れているものとは一線を画した面白さがあります

主役級は日本の武士達

これも定番……というか、日本のマンガなので当たり前ですらあるのですが、日本の戦国の世を生きた人たちが登場します
ドリフターズに登場する人物の特徴として、死亡の確認が曖昧な人物達となっています
まるで本作の通り、異世界に呼びだされたから彼らの死が確認できなかったかのような設定が面白いですね

島津豊久

本作の主人公格が島津豊久
現在の鹿児島の島津家の人物です
無鉄砲でバカでも呼ばれるような言動をしつつも、戦の肝を押さえたセンスを有しているそんな人物として描かれています
史実では関ヶ原の戦いで、敗戦濃厚となるも味方を逃がすために最後まで残り戦死したこととなっていますが、相手方の記録で討ち取ったことが記録されていません
本作ではその逃げのびる最中に異世界へと連れ込まれる

織田信長

言わずと知れた三大武将
マンガなど使われた創作作品は数知れず
本作では島津豊久というマイナー武将を主人公に据えつつ、この超有名武将が戦術面をサポートします
性格は定番の信長そのままですが、人情的な部分もかなり感じられます
終盤のベジータみたいな……（通じるか？）

那須与一

そして前述２名に加えてメインを担うのは、だいぶ時代を遡り源平合戦の時代の那須与一
女性に見間違えるような美少年として描かれています
弓の腕前は史実通りで、凄まじい腕前をちょくちょく披露します
……が、好戦的な先の二人と比べ、戦うこと自体への迷いも
前の二人だけでは足りない部分をしっかりカバーしています

ドリフターズと廃棄物（エンズ）の戦い

ドリフターズたちは何の理由もなく呼ばれたわけではなく、訳あって呼ばれています
というのが、敵対勢力として存在する廃棄物（エンズ）の軍に対抗するためです

どうしてこんな構図になっているのか……語られていない部分も多くありますが、肝となるのは黒王と呼ばれるこちらも地球の偉人の誰か
イエス・キリストっぽいけど、どうなんでしょうね
とにかく、エンズサイドは、歴史上人類を憎むような人選がされており、彼らは怪物と呼ばれる人種を従え人類側を滅ぼそうとしています

とはいえ、呼ばれたドリフターズ達は基本的にそんなことは知ったこっちゃない
ですが色々な目的が交錯しつつ、段々とドリフターズ対エンズの構図に進んでいきます

呼ばれた理由はあるのかも知れないが、それぞれがそれぞれの生き方を貫く

ドリフターズ達はあくまで、呼ばれただけの人たちです
エンズがどうしようが、関係はありません
それぞれがそれぞれに呼ばれたなりにその場所でどうしようという目的意識や考えがあり、それがストーリーを奥深く形作っています

やはり伝説的偉人同士のバトルは熱い

世界観を元にした政治的な戦略も本作の魅力の一つではありますが、やはり見栄えもするのは偉人同士のバトル
歴史上の強い武力を持った人たちが、時代や国境を超えて戦った時どうなるのか？
そんな妄想は常に心を躍らせますね

魔法的能力と特異な技術の融合、考え方の異なる時代や人の交わりを魅力的に描く

繰り返すようですが、設定自体は今、珍しいものではなくありふれたものです
しかしその描き方がよくできていて、飽きることなく読むことができます
まあむしろ問題は、作者の遅筆で進行がえらい遅いことなのですが……
いちおう少しずつ進んでいるので、気長に待ちましょう

【特集】歴史上の人物が出てくるマンガ

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